カルシウム不足の意外な原因?加工食品に潜む「リン」とミネラルバランスの罠
カルシウムとリンのバランス
「カルシウムをしっかり摂らなきゃ」 毎日の健康のために、そう意識されている方は多いと思います。しかし、現代人のカルシウム不足は深刻です。
実は、いくら意識してカルシウムを摂ろうとしても、ある成分の「摂りすぎ」によって、せっかくのカルシウムが身体の外へ追い出されてしまっている可能性があることをご存知でしょうか?
健康の鍵を握る「カルシウムとリンのバランス」について、詳しく紐解いていきましょう。
なぜ日本人はカルシウム不足になりやすい?
そもそも、日本人がカルシウム不足に陥りやすいのには、いくつかの理由があります。
毎日の食事の偏り
朝はパンとコーヒーだけ、昼はコンビニのおにぎりやカップ麺……といった食生活では、カルシウムはほとんど期待できません。夜だけ手作りご飯を食べたとしても、1日のトータルで見ると全く足りていない状態が積み重なってしまいます。
日本の水は「軟水」だから欧米の水(硬水)にはカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれていますが、日本の水はミネラル分の少ない「軟水」です。そのため、飲料水からも、その水で育った農作物からも、十分なカルシウムを摂取しにくい環境にあるのです。
しかし、最大の原因はこれだけではありません。現代の食生活に潜む最大の落とし穴、それが「リンの過剰摂取」です。
最大の落とし穴:「リン」がカルシウムの吸収を邪魔する
カルシウムと並んで身体に必要なミネラルに「リン」があります。この2つは「1:1」のバランスで摂取するのが理想的だと言われています。
しかし、不足しがちなカルシウムに対して、リンは肉類やパン、麺類など様々な食品に含まれているため、現代人は「圧倒的にリンの方を多く摂りすぎている」傾向にあります。
体内でのリンとカルシウムのバランスが崩れ、リンが多くなりすぎるとどうなるのでしょうか? なんと、小腸でカルシウムを吸収しようとする際、過剰なリンがカルシウムとくっついてしまい、そのまま体外へ排出(吸収を妨害)してしまうのです。
加工食品に潜む「添加物のリン」は吸収率が桁違い!
「でも、一日の摂取上限は超えていないはず…」と思うかもしれません。ここで注意すべきなのが「リンの吸収率」です。
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動物性食品(肉・魚など)のリン吸収率:40-60%
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植物性食品(豆・穀物など)のリン吸収率:20-40%
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食品添加物のリン吸収率:80-100%
※出典:日本腎臓学会『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン』および、Kalantar-Zadeh K, et al. “Understanding the sources of dietary phosphorus”(米国腎臓学会誌 2010年)などの栄養学研究より
食品そのものに含まれるリンに比べて、加工食品に使われている「添加物としてのリン」は、ほぼ100%という恐ろしい効率で体内に吸収されてしまいます。
【リンが含まれる代表的な食品添加物】
かんすい、酸味料、pH調整剤、リン酸塩、イーストフード など
これらは、コンビニのパンやカップ麺、お弁当のおかず、ハムやソーセージ、スイーツなど、ありとあらゆる加工食品に使われています。「リン」という名前で表記されていないことも多いため、気づかないうちに大量のリンを摂取し、体内のカルシウムを外へ追い出してしまっているのです。
バランスが崩れると「身体の貯金」が切り崩される
カルシウムが不足し、リンばかりが多い食事が続くと、人間の身体は危機感を覚えます。
血液中のカルシウム濃度をなんとか正常に保つために、身体の「カルシウムの貯蔵庫」である骨や歯から、カルシウムを溶かし出して(切り崩して)補おうとする働きが起きてしまうのです。
実際に、アメリカの医学研究所の報告でも、リンとカルシウムのバランス崩壊による危険性が明確に指摘されています。
「リンが多く、カルシウムが少ない食事は、カルシウムが少なくなるにつれて副甲状腺ホルモンの分泌が増える(=骨からカルシウムが溶け出す)」 (出典:Food and Nutrition Board, Institute of Medicine. Calcium, Phosphorus, Magnesium, Vitamin D and Fluoride. Washington D.C.: National Academy Press; 1997:71-145)
「1日のリン摂取上限は超えていないから大丈夫」と思っていても、カルシウムが不足した状態でリンばかりが多い食事を続けていると、このように気付かないうちに骨が切り崩されてしまいます。 この状態が続けば、身体を支える大切な土台がもろくなり、健やかでイキイキとした毎日を送ることが難しくなってしまいます。
この状態が続けば、身体を支える大切な土台がもろくなり、健やかでイキイキとした毎日を送ることが難しくなってしまいます。
カルシウムは「意識して」、リンは「避ける」工夫を
ミネラルは「単体」で摂るのではなく、互いのバランスが何よりも大切です。 リンに邪魔されず、カルシウムをしっかり身体に届けるためには、以下の2つを心がけましょう。
① 毎日の食事を「ホールフード(丸ごと)」へ 加工食品や添加物をできるだけ減らし、素材を買ってきて手作りする「PBWF(プラントベース・ホールフード)」の食生活を意識するだけで、過剰なリン酸塩の摂取をグッと減らすことができます。
② 吸収の良い「植物性ミネラル」で全体のバランスを底上げする カルシウムはもともと吸収率が低い(20〜30%程度)ミネラルのため、サプリメントなどで単体で摂るよりも、他の微量ミネラルと一緒に「黄金バランス」で摂ることが理想です。
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